前回の続きです。
2014/11/19(水)。
IBSA ブラインドサッカー(通称:ブラサカ) 世界選手権2014 グループA 「モロッコーパラグアイ」と「日本ーフランス」を現地観戦してきました。
今回はブラサカを初観戦して気付いた点をまとめます。
※私は初心者のため、内容に間違いがあれば、申し訳ありませんが、Twitterアカウント @ tokainakurasi 、またはお問い合わせフォームからご指摘願います。
※動画をいくつか用意したので、表示が遅くなる可能性があります。ご了承ください。
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目次
大会公式HP
11/24(月)まで、東京の代々木で毎晩試合をやっています!
ブラインドサッカーのルール
ルールはこちら
やはり最初に戸惑うのがルール。サッカーやフットサルと似て非なるものでした。
ブラインドサッカーのルール | 日本ブラインドサッカー協会|Blind soccer
以後、ここから引用しつつ、現地で撮影した動画や写真を交えてみます。
人数は7人
サッカーは11人、フットサルは5人、ブラサカは7人。
4人のフィールドプレーヤーとゴールキーパー、さらにコーチ、コーラーを加えた7名がピッチに立つことができます。
「コーチ」=「監督」
途中、テクニカルタイムだったかな?宣言すると、ベンチ前に集まることができる模様 #blind2014 pic.twitter.com/PYJAq0e1hl
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
サイドフェンスの自陣ベンチ前に立っていて、指示を出したり、テクニカルタイムをとって選手を集めて指示を与えたり。
「コーラー(ガイド)」は、攻撃する方向のゴール裏にいます。
#blind2014 緑の人がキーパーですが、すぐ近くのラインから外に出てはいけない模様。狭い!
ゴールの裏にはコーチがいて、声を出してOK pic.twitter.com/oa6q8CGWCO
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
この写真では、ゴール裏の青いジャージの人。モロッコゴールを守るGKの後ろに、攻撃側のパラグアイのコーラーがいます。
パラグアイのセットプレー https://t.co/zfzPeTw5VB
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
この動画の最初、青いジャージの人が、ゴールポスト付近にいますよね?
試合中に声を出してガイドする他にも大切な役目が。
FKの直前、このコーラーが両サイドのゴールポストを叩いて音を鳴らして、キッカーにゴールの場所を伝えています。
PKも同じことをしていました。試合中は静かなので、ポストを叩く音がスタンドまで響きます。
フィールドの選手はアイマスク着用
フィールドプレーヤーは視力の差を公平にするためにアイマスクを着用します。
GKはアイマスク無しの晴眼者。見える分、選手に指示を出す重い役割を担ってます。
選手交代
選手交代。拍手がおきました #blind2014 #burasaka https://t.co/OeWKnCbmra
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
交代はコーナー付近から。
動画の最後にちらっと映ってますが、交代で入ってきた選手は、主審にアイマスクのチェックをうけています。テクニカルタイムや前後半開始時も同じくチェックされてました。
ボールの鈴は転がる時に音が小さい?
ボールには特殊な鈴が入り「シャカシャカ」という音がします。
#blind2014 #burasaka 公式球。中に鈴?がはいっていて、転がると音がなります。
コーナーのときに主審が音を鳴らして選手を誘導したりもしてます pic.twitter.com/KnhNEm64bc
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
実際に触ったり蹴ったりしてないので、想像になりますが。
鈴の音は観客席にも聞こえます。
ただ、鈴の音は、ボールが「蹴る」「跳ねて落ちる」「壁や選手に当たる」ときに最も大きく、「転がる」ときは小さいか鳴ってなかった・・気がします。
フットサルボールと同じく、バウンドしてもあまり跳ねず、跳ねたボールは最初は音がなるも、やがて転がって聞こえなくなります。
だから、プレー中に転がってるボールの場所を音で判断するのは至難の業に見えました。
ブラインドサッカー世界選手権2014 モロッコーパラグアイ https://t.co/493Y04pTI8
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
そのため、GKからのスローインのボールが転がって音が小さくなると、DFが触れずに後ろへ逃す場面がありました。
そして、攻撃側も、ボールがこぼれたのに場所を正確に判断できずシュートできない場面がありました。
ボイ!のかけ声
フィールドプレーヤーは、ボールを持った相手に対し「ボイ!」と声を出すことが義務付けられています。互いにブラインド状態のままでは、ボールを持った選手の位置は把握できても、ディフェンスする側の位置は把握できないため、危険な接触を防ぐためのルールです。この「ボイ!」を発しないとノースピーキングというファールになります。
これで、プレー中、接触をある程度は防げてました・・が。
#blind2014 周りが見えないので、接触も多く、レフェリータイムが頻繁にとられます。かなり過酷 pic.twitter.com/276u9xphR8
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
プレーが切れた時、例えばボールが外に出てGKになって選手がポジションに戻ろうと動くときに、お互いが気付かずに正面からぶつかって倒れ、レフェリーが試合を止める場面がたくさんありました。
目隠しした状態で、わからない位置から、大人が突然ぶつかってきて、受け身もとれずに地面に叩き付けられる。
こんなの絶対怪我するよ!サッカーどころじゃない!
この点は後述します。
フェンスを使った戦い方
ブラインドサッカーではボールがサイドラインを割ることがないよう、両サイドライン上に1mほどの高さのフェンスが並びます。スムーズなプレーを促すことに加え、プレーヤーが安全にプレーしたり、ピッチの大きさを把握したりするのに役立てています。また、戦術としてフェンスを活用することも多くみられます。
このフェンスが、ブラサカの最大の見せ場であり、特徴。
サイドにはフェンスがあり、ボールはサイドからは外に出ません。フェンスに身体を預けたり、フェンスに相手をおさつけたり(ノーファウル?)、フェンス際の攻防が激しい!
ガンガンフェンスに身体がぶつかる音が聞こえます #blind2014 pic.twitter.com/NOhJp0svMp
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
ブラサカで一番のプレーエリアは、ピッチ中央でなく、フェンス際。
フェンスに身体や手を当てて現在地を確認したり、
わざとフェンスに蹴って(文字通り)壁パスしたり、
#blind2014 #burasaka ボールが転がってるときは音が聞こえ小さいか鳴らないか。
フェンスや足に当たったときに音がなって、その瞬間に敵も味方も一気に動き出す。
だから攻防はフェンス際が多い
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
ボールをフェンスにぶつけて音をたてたり、
相手をフェンスに押し付けてつぶしてボールを奪ったり(ボディコンタクトはめったにファウルとられない。相手をつかんでうっちゃってた場面もあったような?)。
そんな便利なフェンスだから、攻撃の起点はフェンス際に作ります。
ゴールキックやスローを受ける選手は、フェンス際に立ってました。万が一ボールをこぼしても、フェンスがあるから遠くにいかないし、フェンスにぶつかるとボールの音が鳴る。
左サイドから右サイドへのロングパスが繋がる!かなり日本はこの形を練習してる #blind2014 #burasaka pic.twitter.com/wVtgUa9DVY
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
青ユニの日本代表は、試合の序盤、両サイドに一人ずつ選手を配置し、サイドチェンジパスをしていました。
これはフランスもモロッコもパラグアイもやってなかった戦術でした。
日本代表練習 #blind2014 #burasaka https://t.co/Ym3LoaZD27
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
なかなか良い動画がとれませんでした。この一つ前のプレーがよかったのに。。
試合前練習で、選手はフェンス際からスタートしてゴールに迫る練習をしていました。
これがブラサカの一番重要な攻撃パターンなのですね。
サッカーやフットサルのシュート練習は、ゴールの正面のペナルティエリア外くらいからスタートするので、この違いは顕著でした。
一番のチャンスはセットプレー
ボールの位置を把握するのが難しいブラサカ。
だからこそ、セットプレーが一番の得点チャンスです。
もう一度、前述の動画を。
パラグアイのセットプレー https://t.co/zfzPeTw5VB
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
ボールの位置を正確に把握した状態で、事前の練習通りのパターンで、シュートまで打てます。
なかなかフリーでシュートを打てないブラサカで、これは助かります。
B1クラスでは2種類のPKがあります。まず一つ目は第一PKです。ゴールエリア内でのファール、ゴールキーパーがゴールエリアの外でボールに触れた場合に適用されます。ゴールから6メートルの距離から行われます。もう一つは第二PKです。これは前後半それぞれ、チームファールが4つを超えた場合に適用されます。ゴールから8メートルの位置から行われ、ゲームの勝敗を左右する重要なポイントとなる場合も少なくありません。
日本ーフランス戦は両チーム1点ずつ取りましたが、どちらもPKでした。
強者同士になると、サッカー以上にセットプレーが重要になります。
観戦マナー
ボールに入った音源、GK、コーチ、コーラーのガイド、味方・相手プレーヤーの声や気配など、音声情報が大切なサッカーです。そのため、雑音は天敵になります。大会などでは「観戦はお静かに」の看板も立ち、ヘリコプターやジェット機などが通れば、審判はプレーを中断することもあります。
ゴルフほどシーンとしなくても大丈夫です。スタジアム外で車も走っていましたしね。
ただ、頻繁に「お静かに」と注意されました。
審判は会場を静寂に保つ義務も負っているのです。「静かに見ているなんてサッカーじゃない!」という方も大丈夫。興奮はゴールの際に爆発させてください。プレーが途切れれば野次も飛び、ゴール直後の大歓声はサッカーにだって負けていません。
これについては後述します。
#blind2014 ファウルやコーナーキックなどを、アナウンスして教えてくれます。 pic.twitter.com/AZIcKhbojZ
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
このアナウンスは、観客向けというより、選手向けなのですね。貴重な情報源です。
ブラサカの戦術
2試合みただけのニワカですが。
一番有効な攻撃方法は
「フェンス際でボールをもらって、コーラーのガイドでゴールの位置を確認し、両足ダブルタッチでゴールへ向かって一直線にドリブル(ヒヨコ歩き?みたいに、両足の間に常にボールを置いて、左右の足で軽く斜め前方に蹴りながらドリブル)し、自分のタイミングでシュートする」
ことだと思われました。
自分のタイミングでボールの位置を把握していたら、代表選手なら、観客席に飛び込むほどの強シュートを打てました。
一方、守備。
ピンチのときにすぐ自陣に戻れない、
ボールの場所は正確にわからない、
攻撃側が基本的にゴールに向かって一直線にドリブルしてくる、
#blind2014 緑の人がキーパーですが、すぐ近くのラインから外に出てはいけない模様。狭い!
ゴールの裏にはコーチがいて、声を出してOK pic.twitter.com/oa6q8CGWCO
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
GKが動ける範囲が小さくて前に出てクリアとかを期待できない(上記画像では赤いスパイクのすぐ外の長方形がGKのエリア。出たらファウル。)。
以上のことから
「ゴールの真ん前に人数をかけて守るのが原則」
のようでした。
#blind2014 #burasaka 攻めるときでも2人は守りのために自陣ゴール前にいる模様。
守り側は四人全員で守るので、4対2で攻める方は数的不利すぎてきつい。 pic.twitter.com/Uzza68eTeE
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
パラグアイは2人で守り、2人で攻め。
日本は3人で守り、1人で攻め(守備的戦術だった?)。
フランスは1人で守り、3人で攻め(負けたら予選敗退だから攻撃的だった?)。
守りに人数が残る分、攻撃の厚みはあまりありません。
なかなか得点できない分、1点が重く、ファールでPKを与えてはいけない、という試合展開になりますね。
勇気ある選手達
私が一番感動したのは、選手のテクニック・・よりも、選手達の勇気でした。
周りが見えない状況で、
大人が突然予想もしない方向からぶつかってきても、
フェンスに「ドカドカッ!」と大きな音をたてて叩き付けられながらも、
見えない敵とゴールに向かってドリブルし、
向かってくる見えない敵を身体で止め、
音・声・人(味方や相手の選手の存在も重要な情報源)だけでボールや自分の現在地や状況を判断し、
広いグラウンドに小さなボール1つを全後半50分追いかけ、
トドメは寒い冬の夜に連戦・・。
サッカー公式戦でツライと言われる中2日が、なんだか楽に思えてしまいました。
私にはブラサカはできない。
ピッチに立つだけで怖い。周りに笑われようと、座り込んでしまうだろう。
選手達の勇気ある姿を生で見れたこと、それがこの日の一番の収獲でした。
難しい観客の応援
一番大変だったのは応援。
ただ、やはりブラインドサッカーの応援、難しくて…。
基本、静かに観戦、ゴール時は喜んでよいのですが、いつまでも騒いではダメ。
選手は音とコーチングが頼りですからね。
プレーが切れた瞬間に拍手すると、アナウンスでお静かにと注意されること多数。
観客も慣れる必要がありますね。
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
前述のように、プレー中は、好プレーへの拍手、落胆の「あ〜あ・・」、ピンチの悲鳴、チャンスの歓喜・・・の全てがNG。
私を含めた観客は、ブラサカ初心者が多かったのか、ついサッカーと同じノリの応援をしてしまいますが、その都度場内アナウンスで「お静かに」と怒られたり、通路のスタッフから「お静かに」とプラカードを掲げられたり。
テクニカルタイム中、ついニッポンコールをしちゃいますが、監督の指示が聞こえないから・・と注意もあり。
このホーム日本の応援が、はたして、選手にプラスに働いているのか?
指示が聞こえなくて不利になってないか?
ため息が聞こえるとメンタル的に落ち込むのでは?
観客は選手の助けになっているのか?邪魔してないか?
私は試合途中から、そんなことを考えていました。
運営側も、このような事態があることを覚悟の上で、入場料を設定して、興行として本大会を開催したのでしょう。
大会が終わった後、どのような総括をするのか、気になります。
そして私を含めた観客は、もっともっとブラサカに慣れて、応援の仕方を学ぶ必要があると痛感しました。
見事な応援の仕切り
そんな私と比べると。
ゴール裏に現れた応援団(おそらくサッカー日本代表応援団)はお見事でした。
サッカー日本代表の方は、やはり応援の仕切りと、雰囲気の盛り上げ方がうまかったです。
私は代表戦のスタジアムに行きませんが、初めての人たちでも楽しく応援できるでしょうね。 pic.twitter.com/RXH0uSaT27
— とかいな暮らし (@tokainakurasi) 2014, 11月 19
プレーが切れた一瞬で「ニッポン!ニッポン!ニッポン!」とだけコールしたり。
自由席の若い体育系学生さんの独自の応援に、自由席の観客がついていけなかったときに
「良い応援だ!でも今は監督が指示を出していて聞こえなくなるから、今はやめておこう。ハーフタイムに一緒にその応援をやろうぜ!」
と優しく伝えて、学生さん達のメンツを守ったり(学生さん達から「優しい・・」と感嘆の声が漏れてました)。
ブラサカを長年応援して海外までついていっている方について、ハーフタイムに紹介もありましたし、心配りがお見事でした。
私達サッカーファミリー全員で、経験し、勉強して、今後もブラサカを支援していきたいですね!
長文になりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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